読む、漫才。

おもしろいと思った漫才の文字起こしとかしてます。漫才は、読んでもおもしろい。

【読む漫才】金属バット/M-1グランプリ2020敗者復活戦

コンビ名:金属バット

小林圭輔(こばやしけいすけ)

友保隼平(ともやすしゅんぺい)

 引用元:M-1グランプリ2020敗者復活戦ネタ

以下、金属バットの漫才からの引用です。

友保:うぅ、うぅ、さぶい。うぅ、おいしょ。

小林:どうも金属バットです。お願いします。

友保:どうもー。こんちはー。

小林:がんばりましょう。みんなで。

友保:がんばりましょう。

 

小林:いや、あのさ。

友保:はい、はい。

小林:おれ10年付き合ってる彼女がおってさ。

友保:ええやん。長いこと。

小林:なんか結婚したがってる感じなんよなあ。

友保:ほんまかいな。

小林:でもなあ、おれ何か自分が結婚するというのがピンと来んくてさあ。

友保:ああそう。

小林:おれ、したほうがええかな。

友保:せんでええんちゃうか、ほな。

小林:あ、そう。でも周りのみんなはさあ、はよしたほうがええって言うてくんのよ。

友保:そんな、せかされてするもんやないから。

小林:そうよなあ。

友保:結婚みたいな大事なもんは、お互いの意見が揃ったときにやらんと。

小林:そういうもんやんなあ。

友保:せやで、お前。

小林:よかった、お前。参考なったわ。

 

友保:あー。いやでもそんな彼女すごいね、お前。

小林:そうなんよ。

友保:どこで知り合ったんな?

小林:あのー。結婚相談所なんやけど。

友保:はよ結婚せえよ、ほな、お前。

小林:ええ?

友保:おい。なにダラダラしてんねんなあ。

小林:せんでええ言うたやん、お前。

友保:それとこれとは別件バウアーでしょうな、あんた。

小林:いや、こんなことなんねんなー。

友保:どうなる思ってん、お前。そんなとこで知り合ったらすぐ結婚しやんと。

小林:ああ、そうか。

友保:せやでー。

 

小林:あ、まあしてもええんやけどさあ。ちょっといろいろ合わんのよなあ。

友保:合わへんねや。

小林:うーん。

友保:なに、合わへんって。

小林:いやおれ、女の人でもさ。よく食べる人が好きなんよな。

友保:あー。ガッツリ食ってる子ってかわいいよね。

小林:そやろ。

友保:わしもそう思うわ。

小林:でもうちの彼女、あんま食べへんくてさ。

友保:ああ、女の子やから、胃ちぃちゃいんやろ。

小林:いや何かなあ。おれといっしょにおったら、緊張して食べられへんねんて。

友保:きゃわいいんだ。おい。おい、おい、おい。

小林:合わんのよ。

友保:ええがな、そんなきゃわいらしい理由やったら。

小林:そう?

友保:かまへんがな。

 

小林:あとちょっと趣味も合わんくて。

友保:趣味合わんのはしんどいな。

小林:やろう?

友保:ああ。

小林:おれまあ、趣味が読書なんやけど。

友保:ああ、そうなんや。

小林:向こうはね、絵描くのが趣味で。

友保:あれ?インドアでちょうどいいんじゃないの?

小林:いやおれもインドア同士でええなあ思ってんけど。

友保:ほお。

小林:絵描くのやめちゃったんよなあ。

友保:あら、筆置いちゃったんかいなあ。

小林:そうなんよ。

友保:なんでや。

小林:なんかな。近くに

友保:ほお。

小林:最高のモデルがおるから

友保:ええ?

小林:絵に残す必要がなくなったんやって。

友保:とろけてまうわ。おらぁ、おい。

小林:合わんのよ。

友保:なんやこれ、妖精はんでっか?この子。

小林:ええ?

友保:えらいかわいらしいな、お前。

小林:そう?

友保:え、いま絵やめて何やってんの?

小林:絵やめて、いまガーデニング始めて。

友保:ええがな。

小林:いやあれ、アウトドアやんかあ。

友保:インドアじゃ、ボケお前。

小林:ええ?

友保:ベランダでこちょこちょやってんねやろ?

小林:やってんのよ。

友保:かいがいしいがな。

小林:そう?

友保:ああ。

 

小林:いやあと、ちょっと夜のほうが合わんくて。

友保:もうかまへんがな、夜なんか。

小林:いやいや、大事やん。絶対。

友保:大事やけど。

小林:いやおれが思うにさ。

友保:はあん。

小林:夜はやっぱり、7時からなんよなあ。

友保:はあ?

小林:でも向こうが言うには、夜は6時からやって。

友保:居酒屋か、お前らおい。

小林:ええ?

友保:なんや、ハッピーアワー決めてんのかいな。

小林:ほんなら向こうがさ。

友保:はあ。

小林:夜の時間は、少しでも長いほうがいいでしょ。って。

友保:ほい、結婚せえお前。おい。

小林:合わんのよ。

友保:こんなええ子おらんぞ、お前。

小林:そうか?

友保:ちゃっちゃか結婚しなはれ。

 

小林:いやまあしてもええんやけど。

友保:はあ?

小林:正直おれの理想より、低いんよな。

友保:お前な。

小林:ええ?

友保:こんな車上荒らしみたいな顔してるやつがな。

小林:ええ?

友保:女の子の理想なんか語ったらあかんねや、お前。

小林:おれ車上荒らしみたいな顔はしてへんよ、お前。

友保:車上荒らしやないか、こんなもん。

小林:おれみんなからは、ダフ屋顔って呼ばれてんやから。

友保:いっしょじゃ、お前おい。

小林:そう?

友保:罪人づらやねんから、お前。

 

小林:いやでもやっぱ理想より低いんよ。

友保:なに理想より低いって。理想より顔のレベルが低いみたいなこと?

小林:いや、顔はかわいらしいんよ。

友保:ベッピンさんなんや。

小林:うん。

友保:理想より、なんや身長が低いみたいな?

小林:いや身長でもなくてさ。

友保:ほなこれ、何が低いのよ。

小林:モラルよ。

友保:カスなん?この子。

小林:いや、カスではないんよ。

友保:どういう子?ほな。

小林:いやなんかなあ。コンビニのトイレでさあ。

友保:はあ。

小林:トイレットペーパー、パクって転売してんねんなあ。

友保:カスやないか、お前。

小林:で、その売り上げでさあ。

友保:はあ。

小林:イソジン買い占めてんやって。

友保:ゴミくずやないか、お前おい。

小林:いや、ゴミくずとかではないねん。

友保:なんなん、ほな。

小林:国民の敵なんよな。

友保:なんで付き合ってんの、そんな子と。

 

小林:で、まだあってさ。

友保:まだあんの?

小林:なんかなあ。

友保:はあ。

小林:朝から晩までさあ。

友保:はあ。

小林:ずーっと、ヨドバシカメラマッサージチェア座ってんねん。あれ。

友保:どけや。お前おい。

小林:邪魔やねん、あいつ。

友保:邪魔やなあ。朝から晩まで?

小林:そうやで。

友保:晩、揉まれすぎてもう、つくねなってんちゃうんけ。お前おい。

小林:ほんまやで。

友保:あぶないやっちゃなあ。

 

小林:いやでもこれだけじゃないんよ。

友保:おなかいっぱいやってもう。まだあんの?

小林:あんのよ。

友保:なに?

小林:うちの彼女さあ。

友保:はあ。

小林:タピオカ屋を脅してんねん。

友保:獣やん、もうお前。おい。

小林:やばいねん。

友保:あれ?お前の彼女ってヘキサゴンのOBやったっけ?

小林:いや、ヘキサゴンのOBじゃないのに脅してんねん。

友保:関わらず?えげつないな、お前の彼女。

小林:そうやねん。やばいですよ。

 

友保:ちょっと待ってくれ、おい。

小林:ええ?

友保:ガーデニング怖なってきたな、お前。おい。

小林:なにがや。

友保:おい。この子、なに植えてんねや。

小林:いやなんか、それがよくわからんらしいんよな。

友保:よくわからへんってどういうこと?

小林:なんかなあ、中国から送られてきたタネ植えてんやって。

友保:なんで植えんねやあれ、お前。おい。

小林:すごい楽しそうに植えてた。

友保:どういうつもりや?愉快犯やないか、お前。

小林:そうなんよ。

 

友保:えげつない。もう別れたほうがええぞ、お前。

小林:いやでもなあ、向こうはなあ。絶対に別れたくないって言ってんのよ。

友保:なんや、そんなお前のこと愛してくれてるんかい。

小林:いやなんかなあ。

友保:ほお。

小林:おれにかけた生命保険を回収するまで別れたくないって。

友保:おお、もう逃げなさい。

小林:どうもありがとうございました。

感想など

言い回しで好きなのは「ヘキサゴンのOB」のところ。

これが「ヘキサゴンファミリー」だったらまた印象違うと思う。

ファミリーだと明るい印象が残るが、あえて「OB」にしているのが秀逸。

ヘキサゴン、OB(過去の人)、タピオカ、彼女、で「あのひと」を想起するには十分な刺激語。前振りにもある「モラルの低さ」が際立つ。

 

たぶん方言やイントネーションの問題だけど、全体的に、書き起こしが非常に難しい漫才であった・・・。