読む、漫才。

おもしろいと思った漫才の文字起こしとかしてます。漫才は、読んでもおもしろい。

【読む漫才】Aマッソ/M-1グランプリ2020準々決勝

コンビ名:Aマッソ

村上(むらかみ)

加納(かのう)

引用元: M-1グランプリ2020準々決勝ネタ

以下、Aマッソの漫才からの引用です。

村上:はいどうも、Aマッソです。お願いします。

加納:お願いします。

村上:ジャンルで言うと、賛否両論枠です。

加納:言わんでええねん。そんなことないんですよ。よろしくお願いします。

村上:よろしくお願いします。

加納:ありがとうございます。

 

村上:あのさあ、転校生が来たときに、先生がいろいろ教えたって言うのってさ、だいたいかしこい子に言うやんか。

加納:まあね。そっちのほうが安心感があるからな。

村上:でもさあ、はやく馴染むにはさ、明るいアホに言ったほうがええと思うねんな。

加納:ああ、そうかなあ。

村上:うん。じゃあうち転校生するから、あんた、明るいアホやって。

加納:ぜったい逆やん。

村上:え?

加納:ぜったいに逆やん。

村上:ん?

加納:あんた小学校のときさ、舌の上でラムネが溶けていくのを見せる発表会開いてたで。

村上:そうやったっけ?

加納:うん。あんたが明るいアホやって。あたしがやるから、転校生。

村上:わかった。

加納:うん。

村上:じゃあ転校してきて。

 

加納:オーケー。えー、今日からよろしくお願いします。

村上:こっちこっちー。

加納:あ、ありがとう。

村上:どう?慣れた?

加納:まだやろ。いま挨拶かましたところやねん、お前。初日の心拍数なめんなよ。

村上:うちは、きっしー。

加納:きっしー?

村上:通称やまぎしこと、やまぎょんで、苗字から名前がなっちゃんでぴぴ。

加納:片付けろ。

村上:え?

加納:あだ名いっかい片付けろ、お前。

村上:ん?

加納:ほんでコミュニティごとの引き出しに入れろ、な?で、その都度だすねん。

村上:やめてや。うちかて、引き算はできるっちゅうねん。

加納:なんも言うてへんやん。いっかい落ち着け。自分のリズムでしゃべんな。アホやねんから。

 

村上:あのな。

加納:うん。

村上:この6年半組は、みんな仲良しやから。

加納:6年半組?

村上:そう。うちの学校はな、ふたクラスしかないねん。

加納:ほお。

村上:丁組か、半組か。

加納:カイジの母校?カイジの母校きたん、わたし。めちゃくちゃ怖いねんけど。

村上:せっかく、半に張ってくれたから。

加納:張ってない、張ってない。張ってないよ。わたし手持ちゼロで来てんねんけど。

村上:うん。

加納:大丈夫?ボコられんの、わたし。

村上:ああ、ええよええよ。

加納:ええの?

 

村上:じゃあ、並び紹介するわ。

加納:ともだちって言えや。並びって言うな、お前。

村上:あれが、まきちゃん。

加納:まきちゃん?

村上:先週の給食のとき、突如、バイキング形式を流行らせた女。

加納:すごいな、まきちゃん。やるなあ。

村上:でもな、まきちゃんな、こないださ、先生のこと、お母さんって呼んでんで。

加納:笑うな。システム導入できるやつがすごい。せやろ。目先の揚げ足とってマウントをとるな。な?

村上:なんなん。急に、むっちゃ怒るやん。

加納:ああ、ごめんごめん。うん。

村上:今日からあだ名、むっちゃな。

加納:センス、壊滅的やな。アホはあだ名のセンスだけはあれよ。なあ?

村上:ほんでさ、あれがけんた。

加納:けんた?

村上:このクラスで唯一、守るものがある男。

加納:6年で?6年で守るものあんの?ふつう30超えな出てけえへんのに。守るものって?

村上:スタンスって言ってた。

加納:どんどん変わるよ。なあ?

村上:うん。

加納:変えれるようにしといたほうがいいよ、けんた。なあ、首絞めるで。

 

村上:あ、はい。

加納:あ、当てられた。

村上:すいません、わかりません。

加納:はあ。なんて?

村上:そんなにおしゃべりして、お前は九官鳥かって。

加納:なんでわからんねん。違いますってちゃんと言えよ。

村上:先生さ。

加納:おう。

村上:何でもかんでもさ、たとえてきて、うっとおしいねんな。

加納:ほお。

村上:だからさ、こっちの反応を減らして、当てられる回数を少なくしようと思てんねん。

加納:引き算できるなあ。こいつ。さっき言ってた引き算って、こんな高度な話やってんな。ちょっと見くびってたかもしれへんな。

村上:なあなあなあ。だれにも言ってない秘密おしえてや。

加納:5シーズン早いわ。

村上:ふふん。

加納:5シーズン早いわ。

村上:ええ?

加納:今日会ったばっかりやねんやんか。お互いのことぜんぜん知らんのよ。

村上:でもさ。あんまり知らん相手やからこそ、大胆なお願いできることってあるやん。

加納:風俗か。風俗のマインドで言うてへんか、それ。いや知らんけどな。だいたいで言うてるけどな、わたしも。

 

村上:問題です。さあ、これは何人でしょうか。

加納:やば。これが聞いてた、洗礼かあ。

村上:さあ、大人数に見えますか。いったい何人?

加納:やばいなあ。えーー、放任。かなあ?

村上:正解は、ひとりでした。

加納:ともだちの返しから目を背けんな。お前がこれ向き合うかどうかで、だいぶ人生変わるからな。わかってんのか、お前。

 

村上:ほら、結構馴染めたんちゃう?

加納:やかましいわ。もうええわ。

村上:ありがとうございました。

感想など

文字に起こして気づいたのは、相づちを必要以上に「音」にしていないこと。

ボケもツッコミも、それぞれの発言(音)が、ほとんど被っていない。

この漫才の設定によるものなのかは不明だけど、相手がしゃべり終わるのをきちんと待っている印象。

それぞれのセリフというか発言が、むっちゃ聞き取りやすい(それが漫才的に良いことなのか悪いことなのかはわからないけど)。

漫才のなかでは賢い打算としての扱いだったけど、先生に「お前は九官鳥か」と注意されて「わかりません」と答えるのは、個人的には、リアルで好き。友だちのアホは、そんな感じだった。